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《犬の「目の病気」》結膜炎、白内障、角膜炎 予防や治療法、病状が進んだときに飼い主がやるべきことは?獣医師が解説

どこかに目をぶつけて角膜炎になることも

内山さんが獣医師として患畜を診ているなかでは、白内障と並んで多いのが、外傷性の角膜炎だといいます。結膜炎と角膜炎は年齢による偏りなく、若い犬でも発症します。

「角膜は黒目のところを覆っている透明な膜です。この角膜が傷ついて、目が痛くて開けられなかったり、涙や目やにがたくさん出たりするのが角膜炎。ひどくなると角膜が白く濁ったり、正常な角膜にはない血管が生じたりします。角膜は複数の層でできていますが、深い層まで侵されると角膜潰瘍と呼ばれ、痛みも強くなります」

外傷性の角膜炎は、ペット同士のケンカや、どこかに目をぶつけてしまうことなどで起こります。

犬
ペット同士のケンカも要因(Ph/イメージマート)
写真5枚

「顔がかゆくて机の角に顔をこすりつけていたら、誤って角が目に入ってしまうようなことが結構ありますね。シャンプーをしてドライヤーで毛を乾かしたあとなどは、目の表面も乾燥しているので、余計に傷つきやすかったりします。私は犬種ごとの発症率に偏りがあるようには感じないのですが、いわゆる短頭種は目が大きかったり出っぱりぎみだったりする分、目のケガが多いという見解もあるようです」

治療は結膜炎とほとんど同じで、目をきれいに洗浄し、点眼薬を使います。原因によって内服薬や注射を併用するのも同じです。

「重症の場合は目を保護するコンタクトを装着したり、外科的手術を施したりすることもあります」

目薬は後ろから手を回して滴下

結膜炎、白内障、角膜炎のいずれにしても、治療に点眼薬は欠かせません。動物病院で点眼してもらうときはいいとして、自宅療養中に飼い主さんが愛犬の目に薬を滴下するときは、どうするとうまくいくでしょうか。

「自宅でも点眼薬をしばらく続けることになるので、飼い主さんは頑張りどころですね。まず目薬を持っていることを犬に悟られないようにして近づいてください。目薬の容器は先端が出っぱっているので、それが目の前にいきなり出てくると犬にとっては恐怖です。後ろから手を回してさしてあげてください。

小型犬なら膝の上に抱っこして、お顔を押さえて頭の上から滴下しますね。飼い主さんは後ろに回って手だけそっと目の上へ。この辺りの細かい動きは動物病院さんなどでアップされている動画を参考にするといいと思います」

目薬をさすときは褒めることが重要

目薬をさすときに、さす動きと同じぐらい重要なのが、褒めることだといいます。

「目薬をさしたあとはひたすら褒めてください。おやつを使いましょう。両目の場合は右目にさしたらおやつ&褒め、それから左目にいって、そのあとまたおやつ&褒め。続けざまに点眼しないで、犬にとってうれしいことでサンドしてください。次にさすときの抵抗感が違ってくるはずです」

◆教えてくれたのは:獣医師・内山莉音さん

獣医師・内山莉音さん
獣医師・内山莉音さん
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獣医師。日本獣医生命科学大学卒業(獣医内科学研究室)。動物病院を経て、アニコム損害保険(株)に勤務。現在もアニコムグループの動物病院で臨床に携わる。

取材・文/赤坂麻実

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