ペット・動物

《梅雨時期が間もなく到来》犬や猫を飼っている人が注意したい「食中毒」「熱中症」「皮膚疾患」はどう防ぐベきか

カビが原因の人畜共通感染症も

皮膚疾患では、アトピー性皮膚炎やアレルギー性の皮膚疾患が悪化しやすいのもこの時期です。また、春先から増えて、梅雨明けの7月にピークを迎えるのが、膿皮症です。

「膿皮症は細菌感染によって起こる病気で、犬に多いですが、猫もかかります。主な症状は、湿疹、赤み、かゆみ、脱毛、フケなど。長毛種では夏場だけ毛を短くカットして通気性をよくしたり、シワのある犬種ではシワや脇なども乾いた布で拭いたりすると、リスクを減らすことができますよ」

膿皮症は脇や顔、内股、指の間に症状が出やすいですが、梅雨期は外耳にもトラブルが起きやすいといいます。

「ミミヒゼンダニが寄生して起こる外耳炎(耳ダニ症、耳疥癬とも呼ぶ)も、この季節は気を付けたいですね。愛犬や愛猫が耳をしきりとかいたり、痒そうに頭を振ったりしていたら、この病気かもしれません。ダニが見つかったり、黒っぽい耳垢がたくさん出ていたりしたら、動物病院へ連れて行ってあげてください」

カビが原因の病気もリスク増

カビが原因の病気もこの季節はリスクが増します。例えば、皮膚糸状菌症。皮膚や被毛に真菌(カビ)が感染することで起こる皮膚疾患で、皮膚が赤くなって毛が抜けたり、フケが出たりします。

猫
カビが原因の病気もリスク増も(Ph/イメージマート)
写真5枚

「基本的には、抗真菌薬(外用薬・内用薬)で治療しますが、加えて患部の毛刈りや抗真菌薬の入ったシャンプーを使う場合もあります。犬や猫の皮膚糸状菌症は人畜共通感染症で、飼い主さんもかかる可能性があるので、ペットがかかってしまったときはなるべく直接触れないようにしながらケアして、触れたところはしっかり洗ってください」

梅雨明けは熱中症が怖い

また、5月頃から増えてくる熱中症が、梅雨明けにはピークを迎えます。犬に多い病気ですが、猫もかかります。対策をおさらいして、夏場を乗り切りましょう。

「涼しい居場所を用意したり、新鮮な飲み水を用意したりすることが大切です。犬の場合は暑い時間の散歩を避けて、散歩中もお水を持ち歩いて適宜与えましょう。夏場に愛犬や愛猫を連れて自動車で出かけるような場合、短時間でも車内に置き去りにするのは絶対にやめてください」

◆教えてくれたのは:獣医師・内山莉音さん

獣医師・内山莉音さん
獣医師・内山莉音さん
写真5枚

獣医師。日本獣医生命科学大学卒業(獣医内科学研究室)。動物病院を経て、アニコム損害保険(株)に勤務。現在もアニコムグループの動物病院で臨床に携わる。

取材・文/赤坂麻実

●犬の熱中症、応急処置は「まず体を冷やすこと」獣医師が解説する注意点&対応策

●犬の熱中症、飼い主が気をつけるべきこと「鼻が短い犬種は要注意」「散歩には水や経口補水液を」

関連キーワード