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意外と知らない「年金制度」を解説。老後に備えるiDeCoや個人年金保険などのキホン

老後の資金に不安を感じたら「個人年金保険」や「iDeCo」

【質問】2021年度の公的年金支給額が減るそうですが、公的な年金制度だけでは老後が心配です(53歳・会社員)

【回答】2021年4月からの支給額は国民年金は満額で6万5075円。昨年度より66円下がることが決まりました。公的年金だけでは老後資金が不安…という人は、任意で加入できる私的年金制度である「個人年金保険」や「個人型確定拠出年金」を検討してみるといいでしょう。

iDeCo
Ph/GettyImages
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●公的年金だけでは不安という人は…「個人年金」

「個人年金」とは、民間の保険会社に保険料を積み立てて、老後に「年金」として受け取ることができる保険商品です。貯蓄性が高く、受け取り方法によって「終身年金」「確定年金」「有期年金」「夫婦年金」の4種類に分けられます。掛け金や加入期間、受け取り方法などを自分で選ぶことができますが、積み立てたお金の運用は保険会社に任せることになります。

商品によっては元本割れをしてしまうケースもあるので、加入するときは慎重に選ぶようにしましょう。確定申告の際には、その年に支払った掛け金の総額が「生命保険料控除」されるので、所得税や住民税の節税効果も期待できます。

●個人型確定拠出年金「iDeCo」

「iDecCo(イデコ・個人型確定拠出年金)」は、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的な年金制度です。基本的に、20歳以上60歳未満であれば加入することができます。

iDeCoは自分自身で掛け金を拠出して運用します。原則、60歳にならないと掛け金とその運用益を受け取ることができません。給付を受け取る際は、税制上の優遇が行われます。

【ポイント】

・iDeCoの加入者が、障害状態になった場合や死亡した場合は、60歳になる前でも、障害給付金や死亡一時金を受給できます。

・iDeCoに加入できる人の年齢は2022年5月に引き上げられる予定です。上限が5年延びて、65歳未満となります。

・「iDeCo」の掛け金は月額5000円から、1000円単位で自由に設定することが可能です。ただし、加入している年金制度や職業によって上限が定められています。

→iDeCoの概要 |厚生労働省

私的年金は公的年金で足りない分をサポートするものだと考えてください。公的年金制度を利用するには、毎月の国民年金保険料等をきちんと支払わなければいけません。収入の減少などで支払いが難しい場合は、年金事務所などに相談してみてください。

※手続き内容をわかりやすくお伝えするため、ポイントを絞り編集しています。一部説明を簡略化している点についてはご了承ください。また、令和3年2月17時点での内容となっています。

◆監修:特定社会保険労務士・小泉正典さん

小泉さん
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こいずみ・まさのり。特定社会保険労務士。1971年生まれ、栃木県出身。明星大学人文学部経済学科卒。社会保険労務士 小泉事務所 代表、一般社団法人SRアップ21理事長・東京会会長。専門分野は労働・社会保険制度全般および、社員がイキイキと働きやすい職場作りのコンサルティング。監修書に『社会保障一覧表』(アントレックス)、『「届け出」だけでお金がもらえる制度一覧』(三笠書房)など。セミナーや講演も多数行う。https://koizumi-office.jp/

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