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投資で金融機関に言われたら要注意!「あなたにだけ用意…」など危険なセールストーク5つ

商談をする女性
投資をするときに注意したいセールストークを投資のプロが解説(Ph/Photo AC)
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暮らしていくうえでどうしても気になる、お金の問題。金融機関の窓口などで相談するのもひとつの手ですが、要注意のセールストークがあるんです。そこで、独立系フィナンシャルアドバイザーで、シニア投資コンサルタントの西崎努さんの著書『老後資産の一番安全な運用方法 シニア投資入門』(アスコム)より、注意するべき決まり文句を紹介。大手証券会社出身で、お金の仕組みを知りつくしている西崎さんが語る、要注意フレーズとは?

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金融機関に相談するときは頼りきりにならないで

銀行に預金をしていても、金利が低い今の時代。それならば、投資を始めてみようと考えている人も多いのではないでしょうか。金融機関で相談するとき、なんでも相手の言う通りにしてしまうのは危険です。

なぜなら、こちらは相談のつもりでも、営業担当者にとっては営業の場だから。もちろん熱心に相談を聞いてくれるはずですが、だからといって、相談内容に適した商品を提案してもらえるとは限りません。むしろ、こちらの要望と商品の特性が噛み合っていないことのほうが多いようにさえ思います。

多くの人にとって、相手は金融のプロですから、「言いなりになるな」といわれても難しいと感じるかもしれません。でも、そんなことはないのです。

手を広げて語るスーツ姿の人
新たに商品を買うとき、注意したいワードとは?(Ph/Photo AC)
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新たに商品を買うときの要注意フレーズ

金融商品を新たに買うときに大切なのは、自分にとって必要な投資かどうかです。金融機関の担当者に言われたままに買って、損をしては意味がありません。担当者が売り込もうとしているときは、だいたい決まり文句があります。そこで、担当者の口から出たら気をつけるべき、要注意フレーズを知っておきましょう。

根拠のない「これが儲かる」

「今はこれが儲かると思います」というフレーズは、何が根拠なのか聞いてから判断しましょう。また、「これが人気の商品でよく売れています」と聞くと、妙な安心感や、早く自分も買わなきゃという焦りが生まれてしまいますが、普通はすでに人気があれば割高のはずです。

「過去のデータから値上がりが期待できそうです」も頻出フレーズですが、過去がいいからと言って未来の保証にはなりません。その理由を確認しましょう。

「あなたにだけ用意できました」は本当?

株式投資の一種である新規公開株(IPO)や公募・売出し株(PO)をすすめられた際に気をつけたいフレーズは、「●●さんにだけ用意できました」「こんなチャンスはめったにありません」です。

誰もが知る大企業の株が買えるチャンスのように思えるかもしれませんが、これは提案の枠が相当余っているからだと考えられます。通常、人気の高い新規公開株が、個人で投資している人に提案されることはあまりありません。規模が大きいものほど、注意が必要ですよ。

「もったいない」を投資の理由にしない

預貯金の低金利にうんざりしている人の気持ちをくすぐる、「このまま預金で置いても、もったいないですよ」というフレーズにも注意しましょう。たいてい、この言葉が出た後には、預金からほかの金融商品への乗り換えをすすめてきます。

たしかに預金金利はゼロに等しいですから、もったいないという感覚になるでしょう。だからといって、預金をリスクにさらす必要が本当にあるのかどうかと金利額には関係がありません。投資にはリスクがつきものなので、もったいないという理由だけで大切な資金をリスクにさらすのは避けましょう。

運用成績が悪化したときに「様子を見ましょう」は危険

ノートとふせん
「様子を見ましょう」と言われたら要注意?(Ph/Photo AC)
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すすめられた商品で大きな含み損が発生したとき、まず担当者に問い合わせるという人は少なくないです。そんなとき、「今はもう少し様子を見ましょう」「そのうち戻りますから大丈夫だと思います」と返ってきたら、疑問に思うべきです。

とりあえず何もしなくていいので安心だと思いがちですが、担当者は何を根拠に大丈夫だと言っているのでしょうか? 株式や投資信託の場合、売却しない限りは損失も確定しません。大丈夫だと言ってずっと保有してもらえば、結果は出ないのです。そうして保有している間に担当者が転勤などで外れてしまえば、あとは知らんぷりをすることもできるわけです。

購入した当初の想定以上に値下がりしたり、思わぬ下落をしたりというときは、売却など見直しをするのか、または追加投資をするのか、対応を相談しましょう。

解約したいと申し出たときの要注意フレーズ

最後に、買った金融商品を解約したいと伝えたときに、返ってきたら注意するべきフレーズがこれらです。

「今売るのはもったいない」と売却をストップ

投資信託やファンドラップ(投資家に代わりに金融機関が運用・管理を行うサービス)を解約しようとしたときに、「今売るのはもったいないです」「もう少し様子を見てからのほうがいいですよ」と返ってくることがあります。

手を前に出すスーツを着た人
売却を止められたときは…(Ph/Photo AC)
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結果どうなるかは未来のことなので誰にもわかりませんが、ひとつ言えることは、保有し続けてもらったほうが金融機関には信託報酬が発生するため、儲かるということです。残高によって手数料が入る商品は、長期継続してもらうことが営業担当者にとっては重要なのです。

ここでも運用成績が悪化したときと同じく、ただ様子見を続けるのではなく、売却時期はいつ頃がいいのかを聞いてみましょう。

投資する目的を思い出して判断を

要注意フレーズが金融機関の担当者の口から出たら、まずは少し考える時間を持ちましょう。相手の説明を聞くのはいいですが、基本的には金融商品を販売する側にとって都合のよい話ばかりで、実は説明していなかったり、売る側にとって都合の悪い話がその裏にあったりします。

とくに、今ある資産を運用・管理するべき50代以降は、とにかく減らさないことを第一に。「儲かる」という言葉に惑わされず、まず初めにリスクの大きさを確認するのがいいでしょう。

◆教えてくれたのは:独立系フィナンシャルアドバイザー・シニア投資コンサルタント 西崎努さん

独立系フィナンシャルアドバイザー・シニア投資コンサルタント 西崎努さん
独立系フィナンシャルアドバイザー・シニア投資コンサルタントの西崎努さん
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リーファス株式会社 代表取締役社長。2007年に日興コーディアル証券(現SMBC日興証券)に入社、CFP資格も保有する全国トップセールスとして活躍し、シンガポール・ロンドンでの海外研修も経験。 帰国後は新規・既存の上場会社や不動産投資法人(REIT)の公募増資等の株式引受業務に従事する。2017年4月に独立し、リーファス株式会社を設立。金融商品の仕組みはもちろん、運用実務、大手銀行や証券会社の販売手法まで熟知したアドバイスが好評。https://refas.co.jp/

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