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『悪女(わる)』は30年経てどう変わったか 令和版の今田美桜は「褒め上手」、平成版の石田ひかりは「ラスボス」

今田美桜のさらなる飛躍に期待(Ph/日本テレビ)
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平成版で主演を演じた石田ひかりさんが今なお女優として瑞々しさを保っているのも素晴らしい。一言で「30年」と言っても、当時生まれた人がもう30才。令和版麻理鈴を演じる今田美桜さんは25歳なので、平成版の放送当時は、まだ生まれてもいなかったのだ。

だからこそ、第2回で石田ひかりが上司役としてゲスト出演し、「あなた私の若い頃に似てるわ」と麻理鈴に語るシーンは、なかなかの奇跡に立ち会っている気がして胸が熱くなった。

さらなる飛躍を期待させる今田美桜の進化

私が平成版でもう一人強く印象に残っているのが、総務部の佐々木チエを演じていた鶴田真由さんである。麻理鈴に嫉妬し、いじめる役どころ。鶴田さんの少女マンガのようなルックスと独特の鼻声がガチッとハマり、最高のスパイスになっていた。

今田美桜さんは、顔立ちが少し鶴田真由さんと似ている。思い返してみれば、『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(TBS系、2018年)の真矢愛莉、『3年A組─今から皆さんは、人質です─』(日本テレビ系、2019年)の諏訪唯月など、超がつくほどきつい役が多かった彼女。あの『花のち晴れ』の縦ロール愛莉様が、現在ドタバタでポンコツな麻理鈴にバシッとハマッていることに驚いてしまう。

しかし、芯が強いという点はどの役も共通だ。ケロッと正論を言って本筋を開いてくれる。今田美桜さんの陽のオーラには、そんな信頼感がある。

石田ひかりさんはこの作品に出演後、『ひらり』(NHK連続テレビ小説)、『あすなろ白書』(フジテレビ系)で大ブレイク。今田美桜さんもこのドラマで新境地を開き、素敵な花を咲かせていくだろう。

蕾から花がふわあと咲くその瞬間に立ち会うが如く、眩しい魅力開花の瞬間を見守ることができる。それが『悪女(わる)』というドラマの一番の醍醐味なのかもしれない。

◆ライター・田中稲

田中稲
ライター・田中稲さん
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1969年生まれ。昭和歌謡・ドラマ、アイドル、世代研究を中心に執筆している。著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)、『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)がある。大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し、『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。他、ネットメディアへの寄稿多数。現在、CREA WEBで「勝手に再ブーム」を連載中。https://twitter.com/ine_tanaka

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