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阿部サダヲ、岡田健史のW主演作、“殺人鬼と平凡な若者”の交流が観る人を魅了するのはなぜか?

対照的な阿部サダヲ、岡田健史の演技対決から目が離せない

白石映画の魅力の一つに、作品を支える俳優たちの存在があります。出演するのは日本のトップに立つ俳優たちではありますが、映画『凪待ち』での香取慎吾(45歳)や『孤狼の血 LEVEL2』の鈴木亮平(39歳)らのように、出演者がそれまでのイメージを圧倒的に覆す姿も見られてきました。今作に出演する俳優たちも同様です。

「死刑にいたる病」劇中写真
(c)2022 映画「死刑にいたる病」製作委員会
写真13枚

その最たる存在が、やはり榛村というシリアルキラーを演じた阿部サダヲ。彼の怪演ぶりには何度もゾッとさせられます。阿部が白石映画に出演するのは、2017年公開の 映画『彼女がその名を知らない鳥たち』以来。同作では、ヒロインに対して過剰なまでに献身的な態度を貫く男を演じましたが、今作で演じる榛村は、表向きは誰にでも好かれる善人である一方、裏の顔は計画的に殺人を繰り返す異常者です。

幼い子どもから年配者にまで好かれる“温かさ”を感じさせる演技と、殺人行為に及ぶときの空っぽな“冷たさ”を感じさせる対照的な演技は観客を大いに魅了します。これまで相当な数のキャラクターを演じ分けてきた阿部ですが、この榛村役は彼のキャリアを代表するものになったと言えるでしょう。

「死刑にいたる病」劇中写真
(c)2022 映画「死刑にいたる病」製作委員会
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若者の心理を”受けの演技”で表現

そんな阿部に対する岡田も負けていません。2018年に放送されたドラマ『中学聖日記』(TBS系)でのデビュー以降、出演作ごとに大役を務め、着実にキャリアを重ねてきた彼が今作で演じている雅也は、言わば“どこにでもいる若者”です。榛村と雅也のどちらに共感するのかといったら、恐らく多くの人がこちらでしょう(そうでなければ問題アリですが…)。

「死刑にいたる病」劇中写真
(c)2022 映画「死刑にいたる病」製作委員会
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榛村に翻弄される若者の心理を“受けの演技”で表現し、ミステリアスでスリリングな物語の世界へと観客を誘います。私たちの共感を促す余白ある演技が魅力です。

もちろん、少ない出番ながらも鮮烈な印象をスクリーンに刻んでいる岩田剛典(33歳)や、白石組の常連俳優として抜群の安定感を誇る音尾琢真(46歳)、物語をより謎めいたものにする役どころを担う中山美穂(52歳)らの好演もあってこそ、阿部と岡田の演技対決が際立っているように感じます。

「死刑にいたる病」劇中写真
(c)2022 映画「死刑にいたる病」製作委員会
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