ペット・動物

冬に増加する「猫風邪」 その原因と治療法、飼い主が注意したいこと

治療は動物病院で対症療法を施す

猫風邪にかかったときの治療は、どのようにすべきでしょうか。

「まずは病院へ連れて行ってあげてください。病院では、抗生剤を注射薬や内服薬、点眼薬、点鼻薬の形で使ったり、インターフェロンを使ったりして対症療法を行います」

猫
まずは病院へ(Ph/イメージマート)
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インターフェロンは抗ウイルス作用のあるサイトカイン。サイトカインは主に免疫系細胞から分泌される低分子のたんぱく質のことです。

「対症療法をして、ご飯をしっかり食べられるようになって、体力がつくと、ウイルスの増殖を抑え込むことができて、風邪が治ります。猫風邪は発熱までしなかったとしても、鼻づまりや口内炎のせいで食欲不振になる子が結構いるので、症状を抑えて食欲を取り戻すことは大切なんです」

猫風邪の対症療法に使う薬は市販されていないので、やはり動物病院を受診するのが基本です。人間の風邪薬は、猫には有害な成分も含まれているので、決して与えるべきではありません。

かかりつけ医と相談の上、なるべくワクチンを

猫風邪は感染症なので、予防にはワクチンが有効です。猫の場合は、犬の狂犬病ワクチンのように義務化されたワクチンはなく、接種しない選択をする飼い主さんも多いのだそうですが……。

「ワクチンを打たずに病気にかかって重篤になったり亡くなったりすると悲しいので、ワクチンは打っておいたほうがいいと思います。ワクチンで免疫をつけることで、感染症にかかりにくくなったり、かかっても軽症で済むようになったりします」

猫がワクチンを接種したときの副反応は「犬に比べても、総じて強くない印象」と山本さんは言います。

「もちろん個体差がありますし、体質もあるので、かかりつけ医に相談して接種するかどうか、どの種類を接種するか選択してください。猫の混合ワクチンは3種から5種のものがあり、ヘルペス、カリシは3種混合ワクチンに入っています。クラミジアは3種には入らず5種に入っています。ワクチンは午前中に打って、できれば午後は飼い主さんが仕事を休むなどして、何かあったときのために待機しておけると安心ですね」

◆教えてくれたのは:獣医師・山本昌彦さん

獣医師・山本昌彦さん
獣医師・山本昌彦さん
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獣医師。アニコム先進医療研究所(本社・東京都新宿区)病院運営部長。東京農工大学獣医学科卒業(獣医内科学研究室)。動物病院、アクサ損害保険勤務を経て、現職へ従事。https://www.anicom-sompo.co.jp/

取材・文/赤坂麻実

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