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「一口あげる」に注意!意外と知らない犬や猫に「やってはいけない」食事のあげ方

犬は雑食、猫は肉食って、知っていましたか? 愛犬や愛猫の健康な暮らしについて専門家のアドバイスを聞くシリーズ。

猫
ペットの食事で気を付けたことがいいことは?(Ph/Getty Images)
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今回は、食事の与え方がテーマです。フードの種類やライフステージに合わせた与え方などを聞きました。

6大栄養素が必要だが、人間とは割合が異なる

食事をしているときや、おやつを食べているとき、飼っている犬や猫が欲しそうにしてくることがよくあると思います。かわいい愛犬や愛猫にねだられると、つい一口あげたくなったりしますが、愛あればこそ、我慢が大切です。

犬も猫も人間と同様に、炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、水という6大栄養素を日常の食事から摂取する必要があります。ただし、必要な栄養素の割合は人間とは異なっているので注意が必要です。

獣医師の山本昌彦さんは「犬はオオカミが祖先と言われていますが、人間と長く暮らすなかで雑食化が進んできました。それでも、もとは肉を中心に食べていた動物ということもあって、人間よりたんぱく質を多く必要とします。

猫も人間との暮らすようになって長いですが、犬ほど雑食化が進まず、今も肉食性を失っていません。ですから、猫には人間よりも、そして犬よりも、たんぱく質の含有量が多い食事が必要です」と言います。

犬と食べ物
6大栄養素が大事(Ph/Getty Images)
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塩分も必要量は人間よりはるかに少ない

また、生命維持に必要な塩も、人間と犬や猫では必要量が大きく異なります。人間の場合は1日に成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満が目安ですが(厚生労働省)、犬は去勢済み体重5kgの場合で0.18g、猫は0.33gとされています(出典:「AAFCO」アメリカ飼料管理当局者協会)。人が食べているものを犬や猫に与えてはいけないと言われるのは、こうした体質の違いが理由です。

ペットフードの保存は細菌対策を念頭に

いまや、犬や猫を飼う人の多くが、市販のペットフードを利用していると思います。必要な栄養素やカロリーが既に計算されているので安心ですし、計算や手作りの手間ひまがかからないのもありがたいですよね。

ペットフードは水分をほぼ含まないドライフードと、水分量の多いウェットフード、その中間に当たるジャーキーなどのセミドライフードがあります。水分を多く含むと、それだけ細菌が繁殖しやすく、傷みやすいので、扱いには気を付けたいところです。

「パッケージに保存方法が書いてあることが多いと思いますが、ドライフードは開封後、口をしっかり閉じて、直射日光、高温・多湿を避けて常温で保存するのがおすすめです。冷蔵庫で保存するとフードの表面に結露やカビを生じることがあります。ちなみに、日々の袋の開け閉めにより、フードが酸化してしまうため、開封してから1か月くらいで食べきれる量のフードを購入してください。

缶やパウチなど密閉容器に入っているウェットフードは、開封後は冷蔵庫で保存し、1~2日で使い切りましょう。冷蔵庫で保存したものを食べさせる際には、電子レンジで数秒温めると匂いもたち食べがよくなります。ただし、温めすぎると火傷をするので注意してください。ジャーキーなどは、袋をしっかり閉じて冷蔵庫で保存するのがいいですね」

犬の食事は1日1回か2回、猫は小分けに

食事回数は、ペットフードのパッケージに記載があることが多いので、表示を目安にするといいでしょう。

「犬と猫では、理想的な食事の回数が違ってきます。犬は胃が大きく、1回で1日分を食べられるので、成犬なら1日1回でも構いませんが、1回の量が多いと消化器への負担もあるので、1日量を朝晩の2回に分けてあげましょう。

猫は1回に食べられる量が少ないですし、気が向いたときに少しずつ食べるのを好みます。1日に複数回に分けて与えてもよいでしょう。あるいは自動給餌機を使ったり、ドライフードを置きエサしたりすると、好きなときに食べ進めます。フードが傷まないように気を付けてあげてください。ただし、犬のように1回でしっかり食べる猫もいますので、その子に合わせてあげてください。犬はエサがあればあるだけ食べるので、置きエサには向きません。

子犬、子猫は1日3回程度与えましょう。犬も猫も、水はいつでも新鮮なものをたっぷり用意してあげてください。水はミネラルウォーターではなく、水道水を与えるようにしましょう」

食事の量はどれぐらい?

食事の量も、基本的にはペットフードのパッケージに表示されている通りでOK。はかりや計量カップなどを使って、適切な量を与えましょう。

水を飲む犬
適切な量をあげよう(Ph/Getty Images)
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ちなみに1日当たり必要なエネルギー量は、「安静時のエネルギー要求量(体重×30+70)×エネルギー係数(※)」で算出できます。体重10kgの去勢済みの犬の場合で、(10×30+70)×1.6=592kcal。体重3kgの去勢済みの猫なら、(3×30+70)×1.2=192 kcalです。

「適量を与えているはずなのに、太ったり痩せたりする場合は動物病院を受診してみてください。病気の可能性があります。また、病気ではなく、体質の場合もあります。筋肉量や代謝量によって、1日に必要なエネルギー量は変わってきます。運動量が豊富で筋肉質な犬種、猫種もいれば、その逆もあるので、獣医師に相談すると安心です」

※エネルギー係数は、犬や猫のライフステージにより異なります。詳しくは動物病院に受診の際に相談してみてください。

おやつの量はどのくらい?

おやつも、1日の摂取カロリーに含めて計算するなら、与えて構わないといいます。

「おやつは、飼い主さんと愛犬、愛猫のコミュニケーションや、愛犬のしつけ中のごほうびなどに有効だと思います。ただ、子犬にいろいろ教える時期に、毎回あげていると過剰になるので、においをかがせるだけにして何回かに1回本当にあげる、小さくちぎってあげるなど、工夫してみてください」

ライフステージに見合った食事を

ライフステージによって、必要な栄養素やエネルギー量が変わってくるのは、犬も猫も同じです。ライフステージによる分類は、成長期、成犬・成猫期、中高齢期の3段階で考えていいと思います。ペットショップなどで犬や猫を販売する場合、生後56日(8週間)までは原則禁止なので(飼っている犬や猫に子供が生まれる場合以外では)、哺乳期や離乳期のことを意識する必要はなさそうです。

「成長期は生後50日から1年ほど。成犬期・成猫期は1歳から7歳ぐらいまで。7~8歳からシニアになります。大型犬ではシニア期がそれよりも少し早く始まります。それぞれのライフステージに合ったペットフードが市販されているので、利用したり参考にして自作したりするといいでしょう。

シニア期に入っても、これまであげていたアダルト期のフードを量だけ減らして与えることはおすすめしません。カロリーだけの話ではなく、加齢で必要な栄養素が変わってきますので、年齢に見合わないフードを食べていると病気のリスクが高まります。

フードの種類を切り替えるときは、いきなり全量を切り替えず、1~2週間かけて移行するのが理想です。食べ慣れていないフードを一度にたくさん口にすると、繊細な子は吐いたり下痢をしたりすることがあるので、時間をかけてあげてくださいね」

◆教えてくれたのは:獣医師・山本昌彦さん

獣医師・山本昌彦さん
獣医師・山本昌彦さん
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獣医師。アニコム先進医療研究所(本社・東京都新宿区)病院運営部長。東京農工大学獣医学科卒業(獣医内科学研究室)。動物病院、アクサ損害保険勤務を経て、現職へ従事。https://www.anicom-sompo.co.jp/

取材・文/赤坂麻実

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