エンタメ・韓流

母の日に思い出す「感謝」の曲 Dragon Ash『Grateful Days』はHIPHOPへの偏見を解いてくれた

オリコン1位に輝く

『Grateful Days』は、宇多田ヒカルやL’Arc〜en〜Cielが名を連ねるなか、見事週間オリコン1位に輝き、売り上げ枚数も約90万枚を記録している。私と同じく、この曲でHIPHOPの印象が変わった人も多かったのではなかろうか。この曲が収録されたDragon Ashの3rdアルバムのタイトルは『Viva La Revolution』。いやもう、まさにビバ! 革命的な1曲だった。

まったく興味がないジャンルの人から、すさまじい熱量と卓越した手段で、その楽しさを知らされるというのは、まさに感動の革命。私は間違いなく、Dragon Ash、Aco、そしてZeebraによって、新たな心の扉をあけられた。

どうでもいい話だが、私がカラオケで初めてHIPHOPを歌ったのは、この曲から4か月後にリリースされた『Garden』(Sugar Soul feat. Kenji)である。聴いている100倍難しく、サビ以外は半笑いで「オーイェ……」と体を揺らしていただけだった。HIPHOPは聴くだけにしよう、と思ったものだ。

さて、『Grateful Days』は、配信やMV、ベスト盤などへの収録がその後にされず、サブスクも解禁されていない。公式には当時発売のCDでしか聴けない幻の名曲になっている。

曲は、生まれたあともいろんな歴史の経過のなかで、表に出たり静まったりする。それでも感動のボタンは、脳内ですぐ押すことができるので再生可能。そしてHIPHOPに縁がなかった私が身を乗り出して聴き、「感謝を言葉にするのに、照れることはないよなあ」と、久々に母に贈るカーネーションを買いに行ったことを思い出せるのである。

◆ライター・田中稲

田中稲
ライター・田中稲さん
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1969年生まれ。昭和歌謡・ドラマ、アイドル、世代研究を中心に執筆している。著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)、『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)がある。大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し、『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。他、ネットメディアへの寄稿多数。現在、CREA WEBで「勝手に再ブーム」を連載中。https://twitter.com/ine_tanaka

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