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66歳オバ記者、「元気以上の財産はない」と実感した“乗り鉄”旅 「湧き水のある遠野の神社」から「大谷翔平の母校」まで

「大人の休日倶楽部パス」で“乗り鉄”旅

実はMさんのいう通り、ここのところ私も身体の調子が前にもどってきているんだよね。その証のひとつが「大人の休日倶楽部パス」よ。ご存じかどうか、このパスは50歳以上で「大人の休日倶楽部」の会員になると年に3回購入できるんだけど、丸4日間、JR東日本の新幹線を含むすべての電車に乗り降り自由で1万5270円という”ど素晴らしい”ものなの。

50代半ばで会員になった乗り鉄の私は、”東京駅ー新青森駅”を日帰りした翌日に、新潟駅へ向かい、そこから日本海を北上して秋田駅へ。夜、帰京して翌日は山形県かみのやま温泉の共同浴場の二階でごろ寝、なんてことをしていたわけ。東北新幹線や上越新幹線を路面電車みたいに乗り降りできるのが楽しくて仕方がなかったの。

頻度が下がっていた乗り鉄旅だけど、急にスイッチが入って岩手県へ!
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それが手術をする数年前から、”東京駅―新青森駅”の日帰りがひどくくたびれるようになったのよ。行っても翌日は身体が起こせなくて自宅で寝ていたりしてね。それを「たまたま今回は疲れていたから」と自分に言い訳して深く考えなかったけれど、卵巣境界悪性の前兆だったのかもしれないね。

それが今回は、遠野市まで旅をしたの。刑務所で管理栄養士をしているK.Kさん(54歳)から、ある人の講演会が岩手県遠野市で開かれると聞いて、スイッチが入っちゃったんだわ。夕方、「よし、行こう」と決めて駅に急いで「大人の休日倶楽部パス」を買い、翌朝6時4分東京駅発のやまびこに乗って、10時過ぎには遠野着。講演会は午後からだからまだ時間に余裕がある。

心臓の不安を抱えながら湧き水のある場所へ

「レンタカーを借りたんでどこでもお連れしますよ」とK.Kさんに言われて、「じゃあ、湧き水の湧くところへ」とオーダーしたら「オッケ~」と軽く請け負って、すぐにスマホで調べてくれたの。

湧き水は現地に行かないと手に入らないし、お金では買えない。重いから持ち帰るのにも限度があるけれど、そのつもりでペットボトルとキャリーつきのリュックを用意している。多少の苦労をしても湧き水で炊くご飯の美味しさを思うと頑張りがいがあるんだわ。そんな話を彼女にしたら、連れていってくれたのが程洞稲荷という山の中の神社。

オバ記者
ペットボトルを持って程洞稲荷神社に向かうオバ記者
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で、ここに来る途中には「熊出没注意」の立て看板が! それも怖いけれど、彼女は私が大手術をしたことも心房細動に高血圧という持病があることも知らない。スカートをひるがえして、山道をずんずんと登っていく。登れるのか、私。途中で心臓発作を起こして大迷惑をかけたりしないか、私。

オバ記者
最後までたどり着けるか心配だった山道
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熊用心に空のペットボトルふたつをバンバン打ち付けながら、ゆっくりゆっくり休みながら登りながら、自分の身体が不安で仕方がない。とはいえ、乗りかかった船だ。チクショー、ひと回り年下の酉年女に負けてたまるかと奮起して足を前に進めたら、ちゃんと水汲み場にたどり着いた! その喜びも味のうちよね。山の水は手が切れるほど冷たくて、口に含むと清々しさでいっぱいになったっけ。

オバ記者
無事湧水をゲット
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