不調改善

すりおろしダイエットで痩せる!きゅうり、りんご、大根などの効果的な活用法

無理に運動を始めなくても、おなじみの食材を「すりおろして」食べるだけで太りやすくなった体は改善可能だ。

お腹にたまった脂肪を両手でつまんでいる女性
太った体も「すりおろし」で改善可能だという(写真/ピクスタ)
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余った野菜も果物も、しっかり食べてスッキリやせよう。冷蔵庫の余りものもお腹もスッキリさせちゃいましょう!

蓄積された「内臓脂肪」を落とすための方法

1週間のうち、2日まではハメを外しても体重や体脂肪に影響はないという。しかし、3日以上油断すると体に悪影響が及び始める。

この短期間につくのは「内臓脂肪」だ。食べすぎて消費できなかった栄養が、お腹のまわりにでっぷりと蓄積する。

だが、まだ後悔はしなくていい。

「内臓脂肪はつきやすい半面、落ちやすいという性質を持っています。お正月に増えた内臓脂肪は、1月中にしっかり落としておけば、その後の体形に響きにくくなります」(管理栄養士の望月理恵子さん)

そうとわかれば、今すぐダイエットを始めたいところだが、寒風の中、ジョギングに挑むのはハードルが高い。冷蔵庫を開ければ、正月の余った食材も大量にある。

つらい運動もせず、食材も無駄にしない夢のダイエットは、「すりおろし」でかなえることができる。

ダイエットに大切な酵素、「消化酵素」「代謝酵素」とは?

すりおろした山いも
すりおろした山いもは糖質に効果的に(写真/ピクスタ)
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ダイエットには、体内の「酵素」が重要な役割を果たす。酵素には「消化」と「代謝」の2つの役割があり、それぞれ「消化酵素」「代謝酵素」と呼ぶ。

消化酵素は食べたものを分解し、小腸が栄養素として吸収できるようにする。代謝酵素は、吸収された栄養素を運動や呼吸、肌の新陳代謝などさまざまな生命維持活動に役立てる。

これらの酵素は体内で作り出されているが、1日に作り出せる酵素の量には制限がある。暴飲暴食が続くと酵素は消化にばかり使われてしまい、代謝にまで手が回らなくなってしまう。すると、体内に吸収された栄養素はひたすら蓄積され、内臓脂肪に変わる。飲酒、ジャンクフード、夜遅い食事など年末年始にやりがちな食生活は大量の消化酵素を必要とするので、正月太りにつながるのだ。

やせ体質へ改善するためには、消化によって酵素を無駄に使わないことが第一歩。それは食事でサポートできる。管理栄養士の清水加奈子さんが解説する。

「食材には『食物酵素』が含まれ、食物酵素は消化を助けます。すると、消化酵素が節約できるため、代謝酵素の量が増える。代謝がアップすれば、エネルギーが燃焼されやすくなるので、ダイエット効果が期待できるのです」

代謝を上げるためには、食物酵素が豊富なものを食べるといい。その効果を最大に発揮させるのが「すりおろし」なのだ。

すりおろすことで野菜、果物に含まれる酵素が活発に

大根をおろし金ですっている
写真/ピクスタ
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野菜や果物に豊富に含まれる食物酵素は、すりおろすことで働きが活発になる。

「酵素は酸素と触れ合うことで活性化します。食物酵素は、野菜や果物の細胞膜の内側にも含まれているので、すりおろして細胞膜が壊れると一気に活性化します」(望月さん)

三大栄養素を分解する酵素はそれぞれ違い、食材によって含まれる酵素も違う。炭水化物に含まれる「でんぷん」を分解する酵素「アミラーゼ」は山いもに多く、たんぱく質を分解する酵素「プロテアーゼ」は、しょうが、パイナップル、キウイなどに多い。脂質は「リパーゼ」という酵素で分解され、アボカドなどに豊富だ。

大根がすりおろしダイエットに効果的な理由

管理栄養士の中沢るみさんは、ある冬野菜に太鼓判を押す。

「いずれの酵素もたっぷり入っているのが『大根』です。今が旬の食材である大根は、冬のダイエットのために最強の食材なんです」

例えば、でんぷんの塊であるもちは、大根おろしとあえて「からみもち」にすることで、糖質の消化を促進してくれる。

肉や魚も「和風おろし」にして一緒に食べると、たんぱく質も脂質も消化されやすくなっていい。

「特におすすめなのが、ポークソテーの和風おろし。豚肉には糖質の分解を促すビタミンB1が牛肉の約10倍も含まれているため、大根おろしとの相乗効果で糖質の燃焼効果を強化します」(中沢さん)

白米やパンなどの主食を罪悪感なく食べるおかずとしてはピッタリだ。

さらに大根おろしには、ダイエット効果以外の有効成分も豊富。望月さんが話す。

「大根をすりおろすと、辛み成分の『イソチオシアネート』が生成されます。抗がん作用、抗菌作用、動脈硬化予防などさまざまな効果が期待できます」

大根は、捨ててしまいがちな先端部分や皮にこそ、酵素がたっぷり含まれる。すりおろす時は、皮ごとすりおろしたい。

冬の最強食材である大根だが、「体を冷やしやすい」という注意点がある。大根おろしを食べる時は、温かい料理と一緒に食べる心掛けを。

本来は夏野菜だが、一年を通して冷蔵庫のレギュラーメンバーになっているトマトやきゅうりも、すりおろすことでやせ効果を発揮する。

「きゅうりをすりおろすと、『ホスホリパーゼ』という脂肪を分解する酵素が活性化されます。さらに、『ククルビタシン』という成分は、がん細胞の増殖を防止する効果がある。水溶性の成分のため、すりおろした汁まで摂取するのがポイントです。トマトの栄養素『リコピン』は、すりおろすことで吸収率が高まる。リコピンは脂肪細胞の増殖を防ぎ、脂肪が蓄積されにくい体を作ります」(望月さん)

トマトをすりおろしている
すりおろすことで、トマトは脂肪細胞に働きかける(写真/ピクスタ)
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トマトはおろし器ですりおろすのが難しければ、ミキサーを使用したり、包丁で細かく刻んだりしてもいい。

冬の果物の代表格であるりんごは、皮ごとすりおろすことで脂肪燃焼作用のある「リンゴポリフェノール」が多量に摂取できる。

「りんごには、たんぱく質分解酵素の『プロテアーゼ』のほか、抗酸化作用を持つ『タンニン』、腸内環境を整える水溶性食物繊維の『ペクチン』が豊富。便秘解消に最適です」(望月さん)

りんごの皮をむくのは、栄養を捨てているのと同じ。やせたいならば、包丁より、おろし器を使おう。

しょうがは紅茶に入れてダブルの効果

すりおろししょうが
すりおろししょうがは、たんぱく質に効率よく働きかける(写真/アフロ)
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いずれの酵素も、熱に弱いという弱点がある。60℃以上に加熱すると、酵素が働かなくなってしまうのだ。

大根おろしを鍋に使う場合は、みぞれ鍋のように煮立てるのではなく、別皿に用意して温かい具材に絡ませて食べる方がいい。

しかし、その一方で、生食には注意が必要な食材もある。

「生にんにくは強力な殺菌効果が胃の粘膜を刺激し、胃痛を引き起こすことも。場合によっては、ビフィズス菌のような腸内に必要な善玉菌にも影響を与え、腹痛や下痢などの症状を引き起こす恐れもあります」(中沢さん)

生にんにくのすりおろしは薬味として少量を食べる程度にしておきたい。

冷え症改善や血行促進のイメージが強いしょうがも、生のままでは温め効果がない。

「しょうがに含まれる『ジンゲロール』という殺菌成分は、加熱すると『ショウガオール』に変わって、ぽかぽか効果が得られます。ただ、加熱すると酵素が働かなくなるので、酵素もぽかぽか効果もダブルで得るには、温かい紅茶にすりおろしたしょうがを混ぜて飲むのがいいでしょう」(中沢さん)

酵素は、フレッシュさが命だ。すりおろしてから時間が経つほど、酵素のパワーは激減し、ダイエット効果も一気に低下してしまう。

理想は食べる直前にすりおろすことだが、忙しい朝食作りや、お弁当では難しい。「おろしたてより効果は落ちますが、市販のチューブ入りのものを利用するのもいいでしょう」(中沢さん)

作り置きする場合は、できるだけ酸素を遠ざけて保存すること。すりおろしたらすぐに密閉容器に入れ、冷凍保存する。できれば1回分ずつ小分けし、早めに食べ切りたい。

おろし器は金属よりもプラスチックを

おろし器の見直しも重要だ。

金属のおろし器は栄養素を変質させる恐れがあるため、セラミックやプラスチック素材を選びたい。

目の粗さも重要なポイントとなる。

「酵素は細胞膜が壊れれば壊れるほど摂取しやすくなるので、おろし器の目は細かい方がいい。ただし、細胞膜が壊れるとビタミンCが流れ出てしまうというデメリットがある。酵素を摂りたいなら目の細かいもの、ビタミンCを摂りたいなら目の粗いものと、使い分けるといいでしょう」(中沢さん)

「すりおろし」食材は、一度に大量に食べるよりも、毎食、一品でも取り入れることで酵素が効率よく働く。

体の中から“正月気分”を押し出して、2020年はやせ体質を手に入れよう。

やせる「すりおろし」食材の食べ合わせ

すりおろしダイエットに最適な食材の食べ合わせを管理栄養士の2人が教えてくれた。

●もち+大根おろし

もちに大根おろしがかかっている
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「糖分を分解し、消化を促進する大根おろしの酵素『アミラーゼ』によって、もちの糖質がエネルギーとして代謝されやすくなります」(清水さん)

●ローストビーフ+おろしりんご

「ソースにおろしりんごを使うことで、りんごの酵素『プロテアーゼ』が牛肉のたんぱく質を分解。筋肉がつきやすく、脂肪燃焼しやすい体作りに貢献します」(清水さん)

●白米+まぐろ+とろろ

まぐろ山かけ丼
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「まぐろには糖質などの代謝を促進するビタミンB2が豊富。山いもの酵素『アミラーゼ』は、ご飯のでんぷんをスムーズに消化してくれます」(中沢さん)

●ポークソテー+大根おろし

「糖質を分解するビタミンB1が豊富な豚肉に、大根おろしを合わせることで、糖質の代謝が高まります」(中沢さん)

●豚しゃぶ+おろしにんにく(少量)

「にんにくはすりおろすと『アリイナーゼ』酵素が発生し、『アリシン』という物質を生成。アリシンは豚肉のビタミンB1の吸収をサポートし、燃焼効果を高めます」(中沢さん)

●豚肉+おろし玉ねぎ

ポークソテーにおろし玉ねぎのソースがかかっている
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「玉ねぎをすりおろすと、血糖値上昇を防いだり中性脂肪を下げる辛み成分『硫化アリル』が増加。さらに豚肉のビタミンB1との相乗効果でダイエットに期待大」(清水さん)

●納豆+おろししょうが

「しょうがをすりおろすと、たんぱく質分解成分『プロテアーゼ』などがアップ。納豆と一緒に食べることで血流が良くなり、代謝が上がります」(清水さん)

※女性セブン2020年1月16・23日号

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