不調改善

月経前症候群(PMS)は食べ方次第で改善、一汁三菜の中に“発酵食品”を

女性を毎月惑わす、月経。月経前症候群(PMS)や月経痛などで、ひと月で調子のいい日が1週間程度しかない…という人もいるのではないだろうか。

だが、「月経関連のつらい症状は、食事の仕方で軽減することも可能です」と『ママになっても美しい人の食事術 食べ方ひとつで人生が変わる』(PHP研究所)の著書がある管理栄養士でインナービューティープランナーの木下あおいさんは話す。その方法とは?

月経前症候群を軽減する食事のコツ

そもそも、女性を惑わす月経前症候群とはどのような症状なのか

「月経前症候群は、主に月経前の3~10日の間続く精神的症状、自律神経症状、身体的症状のことを言います。人によって症状は違いますが、精神的症状が出る人は、イライラ、情緒不安定、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害などが挙げられます。あるいは、のぼせや食欲不振あるいは過食、めまい、倦怠感などの自律神経症状、または便秘、腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、お腹や乳房の張りといった身体的症状が出る人もいます」(木下さん・以下同)

◆女性ホルモンの変動が不調の原因に

原因は、女性ホルモンの変動にあると考えられている。生理の1週間ほど前になると、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が急激に減って、代わりにプロゲステロンの分泌が急上昇。プロゲステロンには、子宮の内膜を厚くする働きの他に、体に水分を溜め込んだり、腸の動きを抑えたりする働きもあるので、便秘を始め、腸の不調から起きるさまざまな症状を招いてしまう。

こうしたホルモンを自ら調整することは難しいが、食事で便秘やイライラなどの症状を和らげることはできるという。

納豆をパックの中でかき混ぜている手元
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「それは、発酵食品を多くとり入れた、一汁三菜の食事。つまり、腸を整える食事です。みそや、納豆、ヨーグルトなどの発酵食品、そして食物繊維をうまく食事に摂り入れられれば、腸内環境は俄然よくなっていきます」

月経前症候群対策におすすめ献立ポイント4つ

具体的には、次のようなものがおすすめだという。

【1】具だくさんのみそ汁

食物繊維の野菜を入れた具だくさんのみそ汁は、腸活に不可欠。

器に盛られた具だくさんのみそ汁
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「発酵食品であるみそに、きのこ類、ワカメなどの海藻類、野菜など、食物繊維が豊富な食材を入れましょう。秋から冬にかけては季節は根菜やこんにゃくなどを入れた豚汁やけんちん汁もいいですね」

【2】玄米ごはん

主食は食物繊維が豊富な玄米がおすすめ。

「食物繊維が善玉菌のエサになりますが、特に玄米に含まれるセルロース(不溶性食物繊維)は腸の運動を活発化し、高いデトックス効果が期待できます。少量でも満腹感が得られるのでダイエットにも。これだけでも、腸内環境が整い、お腹の張りや便秘の解消、それに伴う肌荒れにも有効といえます」

玄米や発芽玄米は、歯ごたえがあり、噛む回数も多くなる。一定のリズムで噛むことで、いわゆる“幸福ホルモン”であるセロトニンが分泌されるといわれている。

「このセロトニンは、9割が腸で作られていると言われています。食事で摂取した必須アミノ酸が、腸内細菌の働きでセロトニンのもととなるトリプトファンを作ってくれます。それが脳に届くことでセロトニンとなり、幸福感や安心感をもたらしてくれるのです。つまり、腸内環境を整えることが、PMSのイライラや便秘、肌荒れの防止につながるといえます」

【3】主菜

必須アミノ酸となる魚、大豆製品、肉などは毎食、片手分は食べよう。

「おすすめは、美肌作りにも一役買う、いわしやさばなどの青魚。魚油に含まれるオメガ3系脂肪酸がシミやシワなどの老化防止に働きかけます」

【4】副菜

三菜のうちの残る副菜2つは、発酵食品となる野菜の糠漬けや、ウォータースチームで野菜の甘みを引き出した温野菜サラダでもいいだろう。

漬物屋さんに並べられた糠漬け
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「私自身が特に効果を体感したのが糠漬け。植物性乳酸菌と酵母菌、野菜の食物繊維が同時に摂れるので、腸内で善玉菌が増え、加速度的に腸内環境を整えてくれます。もう1つの副菜は、ウォータースチームで甘みを引き出した、温野菜サラダもいいでしょう。みそ汁に入れきれなかったきのこ類やビタミン豊富な野菜を、少量の水と塩で蒸し煮にするだけでできます。老化防止にいいといわれている亜麻仁油やえごま油を回しかけるのもおすすめ」

いずれも、手軽に用意できるものばかり。「一汁三菜」の文字通り汁物の他3枚のお皿におかずを分ける必要はない。すべての要素がはいっていればワンプレートでも十分だ。また、自炊が難しければ、上記の要素がはいったお弁当を買って食べてもいいだろう。食べ方を変えて、良質な睡眠をとり、適度な運動も行い早寝早起きをすることで、PMSも楽になるかもしれない。

『ママになっても美しい人の食事術 食べ方ひとつで人生が変わる』(PHP研究所)に掲載の野菜シチュー白い皿に酒粕のシチューがもられている
写真/『ママになっても美しい人の食事術 食べ方ひとつで人生が変わる』(PHP研究所)より
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著書『ママになっても美しい人の食事術 食べ方ひとつで人生が変わる』(PHP研究所)には、「便秘を解消するきのこと野菜の酒粕シチュー」など、発酵食品を効率良く摂れて、体も温まるメニューのレシピが紹介されている。献立に迷う人にもおすすめだ。

教えてくれたのは:木下あおいさん

管理栄養士の木下あおいさんが男の子を抱っこして笑っている
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管理栄養士。社団法人日本インナービューティーダイエット協会理事長。都内で、インナービューティーダイエット専門の料理教室を主宰し、インナービューティープランナーとして、腸内環境を整え内側からキレイになる美容食を提案している。

木下あおいさん公式ブログ

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