マネー

耐震改修で150万円もらえることも!地震・災害に備えるためにお得な制度を紹介

いつ起きるかわからないのが、地震、台風などの自然災害です。特に日本は地震大国で、首都直下地震が30年間以内に70%の確率で発生すると予測されています。自宅の耐震改修や家具の転倒防止などの対策で命が助かることもあるので、事前の備えが重要になります。

揺れている部屋
地震がいつきてもいいように備えが必要(Ph/Getty Images)
写真6枚

自治体によっては、住民の災害対策に助成金を給付しているところも。今回は、そんな災害対策に使えるお得な制度について、特定社会保険労務士の小泉正典さんの監修のもと紹介します。

* * *

熊本地震以降、多くの自治体で見直しが!木造住宅の耐震化推進助成

耐震化推進助成(自治体によって名称は異なる)とは、地震などで倒壊しやすい木造住宅を対象に、耐震診断や耐震改修工事を助成する制度です。利用条件や助成額は自治体によって異なりますが、木造住宅の耐震診断にかかる費用が全額支払われる場合や、耐震改修工事に対して助成金がもらえることがあります。

世田谷区が対象とする建築物には耐震診断士を無料派遣

例えば、東京都世田谷区では、1981年5月31日までに着工した木造住宅などの区が対象とする建築物に対して、耐震診断士を無料で派遣しています。

工事中の家
耐震工事で万全の備えを(Ph/Getty Images)
写真6枚

診断の結果、安全性に問題があると判断された場合は、一定の要件を満たしたうえで耐震工事などの助成を受けることができます。耐震改修工事、不燃化耐震改修工事、不燃化建替えなら100万円。さらに、令和3年度(2022年3月31日まで)は、申請者または同居者が身体障がい者1・2級、要介護状態3~5の場合は、50万円、それ以外の方は30万円が100万円に上乗せされます。

以前は、1981年5月31日以前に建てられた木造住宅への助成に限られていましたが、2016年の熊本地震以降、多くの自治体で見直しが進みました。現在は杉並区や大阪市など、2000年5月31日までに建てられた木造住宅にも助成金が出る自治体もあります。詳細は各自治体のホームページなどで確認しましょう。

賃貸でできる耐震対策でも最大50万円!耐震装置の設置に関する助成

賃貸物件に住んでいる人や、大がかりな耐震改修工事をする費用はなかなか出せないという人でも行うことができる耐震対策に対して、助成金がもらえることがあります。

家の模型
身近でできることから(Ph/Getty Images)
写真6枚

具体的には、「耐震シェルター」や「防災ベッド」の設置です。「耐震シェルター」とは、大地震による住宅倒壊から身を守るために、住宅の一部屋にフレーム等を設置して、安全な空間を作るというもの。「防災ベッド」は就寝時の災害に備えて、ベッドに倒壊から身を防ぐ防御フレームを設置するというものです。設置費用も耐震改修工事に比べると安く、賃貸でも家主の許可があれば設置できます。

細かい条件は自治体によって異なるので早めに確認を

例えば熊本県熊本市では、2000年5月31日以前に着工された建物(2000年6月1日以降の増築でも条件次第では可)を対象に、工事費用の2分の1(最大20万円まで)が助成されます。東京都墨田区では65歳以上、障がい者手帳1~2級などの人に対して、最大50万円を支給しています。

防災備えのチェックリスト
早めに確認しましょう(Ph/Getty Images)
写真6枚

木造住宅であることや、耐震診断を受けて安全だと認められない場合など、細かい条件は自治体によって異なります。助成金の申請は、設置工事の契約をする前に行う必要があるので、お住まいの地域の自治体に早めに確認しましょう。

ブロック塀の撤去や家具の転倒防止も!他の災害対策の助成制度

他の災害対策の助成制度も紹介します。

ブロック塀の撤去

ブロック塀が倒壊すると災害時の避難や救助活動に支障をきたすため、ブロック塀の撤去工事費を助成する自治体が多くあります。実際、2018年に起きた大阪府北部地震では、倒れたブロック塀で亡くなる人も出ています。また、ブロック塀の撤去後に緑の生け垣を作って緑化を進めているところも珍しくありません。

ブロック塀
危険なものは取り除こう(Ph/Getty Images)
写真6枚

例えば、東京都武蔵野市では、高さが1.2mのブロック塀であることや、一般公衆の通行に使われている市内の道路に面していることなど条件があるものの、ブロック塀の撤去のみの場合、上限64万円まで、ブロック塀等の補強は上限32万円まで、ブロック塀等の改修(撤去・新設)では上限128万円までが助成されます。

家具の転倒防止

タンスなどを固定するL字型金具の取り付け工事など、家具の転倒防止に対する助成は多くの自治体で行われています。

例えば、東京都荒川区では、区内に住所を有する全世帯を対象に、感震ブレーカーや家具の転倒防止器具の購入・設置費について助成金をもらうことができます。購入前に申請が必要なことも多いので、お住まいの自治体に事前に確認してみてください。

災害が来る前に私たちができるのは、備えておくこと。資金面で不安のある人も、一度自治体に相談してみるといいでしょう。

※手続き内容をわかりやすくお伝えするため、ポイントを絞り編集しています。一部説明を簡略化している点についてはご了承ください。また、令和3年7月22日時点での内容となっています。

◆監修:特定社会保険労務士・小泉正典さん

小泉さん
写真6枚

こいずみ・まさのり。特定社会保険労務士。1971年生まれ、栃木県出身。明星大学人文学部経済学科卒。社会保険労務士 小泉事務所 代表、一般社団法人SRアップ21理事長・東京会会長。専門分野は労働・社会保険制度全般および、社員がイキイキと働きやすい職場作りのコンサルティング。監修書に『社会保障一覧表』(アントレックス)、『「届け出」だけでお金がもらえる制度一覧』(三笠書房)など。セミナーや講演も多数行う。https://koizumi-office.jp/