不調改善

“大人の喘息”は子供とどう違う? その原因と改善方法、日常生活で注意すべき点

咳き込む女性
長く咳が続くときは喘息を疑う必要があるかも
写真7枚

「長期間せきが続いている場合、喘息を発症している可能性があるため注意が必要です」と話すのは薬剤師の山形ゆかりさん。そこで、喘息の症状や原因、発作や悪化を防ぐための食事や漢方薬について教えてもらいました。

* * *

喘息の症状

喘息(気管支喘息)は、さまざまな原因で気管支の炎症が慢性化して気道が狭くなり、刺激に対して敏感になることで起こります。

喘息の主な症状は、発作的な喘鳴(のどがゼーゼーと鳴る)や激しいせき、胸の痛み、動悸などです。症状が悪化すると、呼吸困難を起こすなど命に関わることもあります。

喘息は大人になってから発症する場合もあります。とくに、冬は乾燥した冷たい空気やかぜなどにより喉への刺激が多くなるため、喘息の発作が出やすい傾向にあります。

胸を押さえる女性
喘息が悪化すると命に関わることも
写真7枚

喘息の種類と原因

喘息はアレルギーが原因のものとそうでないもので、アトピー型と非アトピー型の2種類に分けられます。

アトピー型

アトピー型は、アレルギー反応で気管支の炎症が起こる喘息です。小児喘息は、このアトピー型が多いといわれています。

アレルギー反応の主な原因(アレルゲン)には、ほこり、ハウスダスト中のダニやカビ類、ペットの毛やフケ、花粉などがあり、血液検査でアレルギー反応の有無や強さを数値化してあらわす好酸球の数やアレルゲンを調べることで診断できます。

非アトピー型

アレルゲンが特定できない喘息は、非アトピー型に分類されます。

かぜや感染症、気温・湿度の変化、喫煙、アルコール、肥満、運動不足、過労、ストレスなどさまざまな要因によって起こると考えられており、成人になってから発症する人が多いのが非アトピー型喘息の特徴です。複数の原因が絡み合っていることも多いため、アレルゲンを避けることで回復が見込めるアトピー型と比べ、完治しにくいのが特徴です。

季節を問わず発作が起きやすい非アトピー型喘息ですが、かぜやウイルス感染がきっかけでせきが止まらなくなり、発症する場合があります。

喉を押さえる女性
咳が長引いたり、呼吸音がおかしいと感じたら病院へ
写真7枚

かぜをひいたときに、いつもよりせきが長引いていたり、「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」など呼吸時の音がおかしいと感じたりした場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

喘息の発作・悪化を予防する方法

大人に多い非アトピー型喘息を予防するには、気管支の炎症の原因になっている生活習慣を改善したり、喘息が起こるきっかけをなるべく作らないようにしたりする必要があります。

たとえば、喘息の発症や悪化の要因として肥満や運動不足が挙げられます。肥満の場合、内臓脂肪に含まれる脂肪細胞から喘息を悪化させる物質が出されたり、気管支周辺に脂肪細胞があることで炎症が引き起こされたりします。さらに、運動不足であれば脂肪がたまりやすく、喘息の悪化につながるでしょう。

肥満や運動不足を解消するために、食事の内容を見直してバランスのよい食事を心がけたり、適度な運動をしたりすることが大切です。ただし、運動する際には乾燥した空気を吸い込むことで喘息の発作が起こる可能性があります。とくに空気が冷たく乾燥している冬は発作が起きやすいため、運動前には必ずウォーミングアップを行い、乾燥した場所での運動は避けましょう。

パソコンを見ながらヨガをする女性
運動不足や肥満が喘息の原因になることもある
写真7枚

また、喫煙や飲酒は呼吸機能を低下させるため、アトピー型や非アトピー型に関わらず喘息を悪化させます。受動喫煙が喘息の発作を引き起こすこともあるため、喫煙所の近くを通るのは避ける、喫煙者の家族には近くで吸わないよう配慮を求める、といった対策をすることが理想です。
非アトピー型喘息は、かぜやインフルエンザなどから喘息を発症するケースが多いため、感染症対策も喘息の予防になるといえます。

喘息を予防・悪化させないためにはビタミンC食材が有効

せきが気になったときには、免疫力を維持する効果が期待できる「ビタミンC」を多く含む食材を食べることが、気管支の炎症の慢性化を防ぐことにつながります。

主に野菜や果物に多く含まれるビタミンCですが、とくにパプリカや黄色のキウイフルーツ、いちごなどが含有量が多い食材です。

フルーツ盛り
ビタミンCの摂取には、生で食べられフルーツや野菜がおすすめ
写真7枚

ビタミンCは水に溶けやすく熱に弱い性質があるため、生のまま食べるフルーツは効率よく摂取できるのでよいでしょう。

調理する場合は、加熱時間を短くしたり、蒸し器や電子レンジ調理を活用したりして、ビタミンCの損失を防ぐ、または汁物にしてビタミンCが溶けだした煮汁ごと食べるのもよいです。

関連キーワード