不調改善

腸内環境を改善してダイエット!有効な方法は乳酸菌(食べ物や飲み物で)を摂ること

健康効果が期待できる「機能性ヨーグルト」やサプリメント、乳酸菌入りのお菓子などが次々に発売されている。

水着姿でお腹を触りながらビーチに寝そべる女性
乳酸菌パワーはダイエットに効果的(写真/アフロ)
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乳酸菌といってもビフィズス菌やR-1など菌の種類が豊富で、菌種ごとに、ダイエット、肌荒れ、内臓脂肪、便秘。下痢、ストレス、高血糖や脂質異常、歯周病、虫歯など、さまざまな症状に効果があるという。一体、自分に合うのはどれなの?

乳酸菌というと、腸をきれいにするイメージが強いが、その健康効果の高さを物語るニュースが、今年8月開催のアジア競技大会(ジャカルタ)において報じられ、話題を呼んだ。

簡単に説明すると、セーリング競技の舞台となったジャカルタ湾は、廃棄物由来の水質汚濁がひどく、6月に同所で行われたアジア選手権では体調不良の選手が続出し、ほぼ全滅という状況に陥っていた。

そのためアジア大会では、大会3週間前から日本の選手に乳酸菌飲料を摂取してもらい、腸の働きを整えたところ、下痢などの症状を軽減することに成功。金メダルを含む好成績を収めたという。

この結果は当然と言うのは、大腸のスペシャリストで『新宿大腸クリニック』院長の後藤利夫さん(以下「」内同)。

「乳酸菌を摂取し、腸内環境を整えたことで、ウイルスや細菌に対する免疫力を高めることができたと考えられます」

だが、これは乳酸菌パワーのごく一部だ。

「最近はピロリ菌を減らす、プリン体の吸収を抑える、歯周病や口臭の予防・改善など、数多くの研究結果が出ています。乳酸菌が心身の悩みをすべて解決するといっても過言ではありません」

では、乳酸菌の腸内での働きを見ていこう。

腸内環境を整えるには乳酸菌が不可欠

「善玉菌」「日和見菌」「悪玉菌」の3種で構成される「腸内フローラ」のイメージイラスト
腸管内細菌は「腸内フローラ」はと呼ばれ、「善玉菌」「日和見菌」「悪玉菌」の3種で構成(イラスト/秋野純子)
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そもそも乳酸菌とは、食物などを発酵させて乳酸を作る菌の総称。自然界に広く存在しているが、人間では腸内に最も多く存在しており、皮膚にもその存在が認められている。乳酸というと疲労物質を思い浮かべるが、腸内を弱酸性に整え、悪い菌を増殖させないという重要な働きがあるのだ。

日本人の死因ランキングの1位はがんで、女性の1位は大腸がん。年齢別に見ると40才代から罹患率が増加し始め、50才代で加速。高齢になるほど高くなっていることからも、腸の状態が健康や寿命に大きくかかわっていることがわかる。

腸内細菌「腸内フローラ」は3種で構成

人間の腸の中には約600兆から1000兆個の腸内細菌がおり、これらは小腸の終わりから大腸にかけての腸壁に多く群生している。その様相がお花畑のようであることから、腸管における腸内細菌は「腸内フローラ」と呼ばれている。

腸内フローラは、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種で構成されており、乳酸菌は善玉菌に分類され(主な働きなどは表参照)、ビフィズス菌とともに腸を整えるよう働いている。最近ではDNAの解析技術の進化により、新しい乳酸菌が多く発見されている。

また、加工技術も進歩し、サプリメントや乳酸菌入りのチョコレートなども登場。その他、ぬか漬けやキムチ、発酵調味料のみそやしょうゆ、塩麹にも乳酸菌は含まれている。

今や、乳製品以外からでも手軽に乳酸菌パワーを取り入れられる時代なのだ。

善玉菌と悪玉菌のバランスは常に変化

腸内細菌の理想的なバランスは「善玉菌」「日和見菌」「悪玉菌」2:3:1を示した表
腸内細菌のバランスを保つことが理想的
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「理想的な腸内フローラのバランスは、善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7の比率ですが、健康な人でも常に安定しているわけではなく、限りある腸内の居住スペースを少しでも広げようと、小競り合いを続けています。肉食過多などの偏った食事をするとたんぱく質の分解に悪玉菌が活発に働かざるを得なくなる。すると悪玉菌が優勢になって、それに日和見菌が加勢して、体に不調が現れます」

睡眠不足などの不規則な生活やストレスも、悪玉菌優勢に傾く要因だ。

腸内細菌に占める善玉菌・悪玉菌の年齢における割合のグラフ
腸内細菌は50歳を過ぎると激減(イラスト/秋野純子)
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上のグラフのように、生後、乳児期までの腸内細菌はほとんどが善玉菌だが、50才を過ぎる頃には激減。老年期に向けて、ウェルシュ菌などの悪玉菌の割合が増える傾向にある。さらに、加齢に伴ない排泄力が弱くなるため、腸内に有害物質がたまりやすくなり、悪玉菌を増やしてしまうのだ。

「特に50才前後からは、善玉菌を増やす食生活を心掛けることが大切です」

腸内環境はこのチェックリストで確認を!

では、今の自分の腸内環境はどんな状態なのか? 下のチェックリストで確認してみよう。

腸内環境のチェックリスト
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3つのカテゴリーで各2つ以上、全体で5つ以上にチェックが入った場合は、腸内フローラのバランスが崩れている可能性がある。

「便の重量の約7割は水分で、残りは食べ物のカスや腸からはがれた粘膜、腸内細菌の死骸です。便には腸内環境がしっかり反映されているので、異常が目に見えやすい。黄色から黄褐色のバナナタイプの便が出ていれば、善玉菌が優勢です」

また「症状」のチェックが多い人は、腸内環境が悪化し悪玉菌に支配されている可能性があり、一刻も早く善玉菌を増やす必要がある。

おすすめはヨーグルト!乳酸菌を毎日摂取する

腸内環境の悪化は、下痢や便秘といった排泄にかかわるだけでなく、病気にかかりやすくなる、生活習慣病が進行するなど、健康を大きく左右する。加えて、“腸脳相関”という言葉があるように、腸と脳は互いに影響し合う関係。幸せホルモンといわれる「セロトニン」は、腸でも作られることがわかっており、セロトニンの分泌が悪くなると便秘が続き、心身ともに調子が悪くなってしまうというのだ。

「腸内環境を整えるには、善玉菌を含む食品を食べることが有効です。特にヨーグルトは生きた乳酸菌やビフィズス菌を手軽に摂取できるのでおすすめ。他に足りない栄養素としては、食物繊維とビタミンCくらいですね」

CMなどで“腸まで届く~”という言葉をよく耳にするが、腸にたどり着く前に乳酸菌が死滅しても問題はない。

「死菌は免疫システムを強化する作用に使われ、血中コレステロール値を下げる働きは生菌と変わりません。それに、腸にすみついている乳酸菌のエサになるので、腸内フローラを善玉菌優位に導きます」

現代は、抗菌・除菌ブームで清潔すぎる環境にある。また、病気になると善玉菌も殺してしまう抗生物質を摂取することも多く、食事は肉中心で食物繊維が少ないなど、乳酸菌が減りやすい生活を送っている人が多い。

体外から摂取した乳酸菌の寿命は長くて2週間。毎日せっせと摂り続け、新しい乳酸菌を腸に取り入れることが現代人には大切なのだ。

※女性セブン2018年11月8日号

→期待される効果別、乳酸菌&その菌を含むヨーグルトなどの食品【その1】
→期待される効果別、乳酸菌&その菌を含むヨーグルトなどの食品【その2】

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