不調改善

《26分の仮眠で仕事効率が34%アップ!》精神科医が教える「睡眠」の新常識 仮眠を仕事に活かす「パワーナップ実践法」のススメ

ナポレオンは、ショートスリーパーではなかった!?

ナポレオンは、1日3時間しか眠らなくても連戦連勝の輝かしい活躍をしていた。だから、睡眠時間を削っても大丈夫、とショートスリープ(短時間睡眠)推奨者は言います。しかし、最近の研究ではナポレオンのショートスリーパー説に疑義が提示されています。

ナポレオンは、ショートスリーパーではなかった!?(Ph/イメージマート)
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ナポレオンが重度の胃潰瘍を患っていたことは有名です。ナポレオンの死因については諸説ありますが、胃潰瘍の悪化による胃せんこう(胃に穴があくこと)も必ず取り上げられる説の1つです。

ナポレオンの肖像画は、たいてい手をお腹に当てていますが、これは常に胃痛に悩まされていたことを示しています。さらに毎日のように夜中まで胃痛がひどく、それによって1日3時間しか眠ることができなかったようです。

胃潰瘍の最大の原因はストレスです。睡眠はストレスを解消し、また睡眠中に細胞の修復が行われます。ナポレオンの胃潰瘍悪化に睡眠不足が関係していたことは、間違いないでしょう。

さらにナポレオンの側近、ブーリエンヌが書き残した回顧録によると、ナポレオンは会議中や馬での移動中によく居眠りをしていたそうです。つまり、ナポレオンは1日3時間しか眠らなくても闊達に活動できるショートスリーパーだったのではなく、胃潰瘍による胃痛で3時間しか眠れなかった。慢性的に睡眠障害を抱えており、それを「仮眠」で補っていた。いうなれば、「仮眠」の達人だった、と考えられるのです。

レオナルド・ダ・ヴィンチは、4時間ごとに15分の昼寝をしていたことが知られています。また、発明王エジソンも昼寝を習慣にしていたといいます。歴史上の偉人たちも、仮眠を上手に活用し、脳のパフォーマンスを最大化していたのです。

仮眠をビジネスに活かす「パワーナップ実践法」

時間あたりに対する睡眠の効用を最大化する仮眠法は、「パワーナップ」と呼ばれます。パワーナップの最適時間は、15〜20分といいます。30分を超えるとより深い睡眠に入ってしまうために逆に疲労感が増し、さらに60分を超える仮眠は、夜の睡眠に悪影響を及ぼします。

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仮眠をビジネスに活かす「パワーナップ実践法」とは(Ph/photoAC)
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また、仮眠は15時頃までに終わらせるべきで、それ以後の仮眠は、やはり夜の睡眠に悪影響を及ぼします。

理想的には平らなところで眠るのがベストですが、イスに座ったまま机の上で顔を伏せて眠るようなやり方でも、かなりの効果が得られるといいます。また、パワーナップの前に、コーヒーや緑茶などでカフェインを摂取しておくと、約30分後にはカフェインの効果が現れるため、自然に目覚めやすくなります。

私の場合は、仮眠を習慣にしているわけではありませんが、疲れているとき、強い眠気を感じたときには、我慢せずに20分ほどの仮眠をとるようにしています。

能率が低下したまま仕事をしてもはかどらないどころか、時間の無駄です。仮眠による時間損失と、仮眠による回復効果とその後の仕事効率アップを考えれば、仮眠したほうがいいかどうかは、おのずと見えてくるはずです。

◆教えてくれたのは: 精神科医、作家・樺沢紫苑さん

樺沢紫苑さん
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1965年札幌生まれ。札幌医科大学医学部卒。2004年から米国シカゴのイリノイ大学精神科に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信によるメンタル疾患の予防」をビジョンとし、YouTube「精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル」(https://www.youtube.com/@kabasawa3 48万人)、「樺沢紫苑公式メルマガ」(https://bite-ex.com/rg/2334/7/ 12万人)など累計100万フォロワーに情報発信をしている。著書46冊、累計発行部数240万部のベストセラー作家。シリーズ累計90万部の『アウトプット大全』(サンクチュアリ出版)をはじめ、『神・時間術』(大和書房)、『ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)、『言語化の魔力』(幻冬舎)、『読書脳』(サンマーク出版)など話題書多数。

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