不調改善

《認知症リスクも》目の不調が全身の不調の引き金に!100歳まで目の健康を保つための3つのポイント

目の不調で高まる病気リスク

目の不調は、日常生活の不便さだけでなく、さまざまな病気を引き起こす可能性があります。厚生労働省が発表している「平成28年国民生活基礎調査」のデータによると、介護が必要になった原因の1位は認知症、2位は脳血管疾患、3位は高齢による衰弱、4位は骨折・転倒、5位は関節疾患となっています。一見すると、アイフレイルと要介護の関連性は薄いようにも見えますが、実は上位を占める疾患と視覚障害は深く関連しています。

「例えば、1位の認知症は、視覚障害を合併すると、より進行しやすいことが報告されています」

目の不調は認知機能にも影響

日本人に多いアルツハイマー型認知症の直接的な原因は脳内にたまるゴミであるアミロイドβと考えられていますが、認知症進行の外的要因の一つは、社会参加が少なくなることと言われています。

「見えにくくなることで外出することや人と接することに消極的になると脳への刺激が減り、認知機能の低下につながるものと推測されています」

脳血管や心臓病リスクも高める

さらに、見えにくくなると脳血管疾患や心臓病などの循環器疾患のリスクも高まります。「近年の研究によると、眼底の異常が軽症の人は循環器疾患の発症リスクが約2倍になり、重症化すると2倍以上になるという報告があります」と角谷さん。眼底とは、一般的にはフィルムにあたる網膜のことで、ものを見るための中心的な役割を担っています。

「目の状態が循環器疾患のリスクと関連するのは、目の裏側にある網膜に流れる血管が、全身に流れる血管の状態を反映しているためだと考えられています。網膜の血管も、脳の細い血管も、心臓からの血管が枝分かれしたものです。特に目に到達する血管と脳に到達する血管は、鼻のあたりまで同じ血管になります。そのため、網膜の血管と脳の細い血管は同じ状態になると考えられているのです」

目が悪いと自律神経が乱れ、不調が表れることも

また、目の機能が衰えてくると、疲れやすくなったり、頭が痛くなったりなど、不調が現れてくることがあります。これは、自律神経の乱れによるもの。

頭をおさえる女性
目の機能が衰えると体に不調が出ることも(Ph/photoAC)
写真4枚

通常、人間の体は約24時間のリズムに合わせて自律神経からあらゆる器官に指示が送られ、呼吸、体温、内分泌、代謝、循環などがコントロールされています。このリズムを正常に保つために大切なのが朝の光であり、1日24時間というリズムは、朝、目に入ってくる光が網膜を刺激することで形成されています。

「つまり、目の状態が悪くなって光を十分に感知できなくなると、生体リズムが崩れることになるのです。そうなると、生体リズムに合わせて稼働している自律神経も乱れ、体のあちこちに異常が現れるようになります」

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