不調改善

糖質制限ダイエットに警鐘! 視力低下や死亡率が高まる恐れも

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ダイエットにはさまざまな“副作用”が(写真/アフロ)
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中高年のダイエットは特に注意したい。さまざまな回復機能が衰える中高年は若年層よりダイエットの“副作用”が大きい。

悠翔会在宅クリニック柏の佐々木淳院長さんは、「中高年のダイエットで最も危惧すべきなのは筋肉の量が減ってしまうこと」と指摘する。

「食事制限のダイエットをすると、脂肪よりも筋肉の方が多く減ってしまいます。筋肉は加齢によって少なくなっていきますが、ダイエットで筋肉の減少が加速すると、運動機能も低下し、転倒などのリスクが増加します。とくに女性は閉経後に骨密度の低下が急速に進むので、転倒・骨折から寝たきりになることもあります」

もう1つ注意すべきなのは、生命活動を維持するため体が自動的にエネルギーを消費する「基礎代謝量」が減ることだ。

「例えばダイエットをして筋肉が5kg減ると、250kcalほど基礎代謝が減ります。基礎代謝が減るとエネルギー消費量が減るため、同じ量を食べてもカロリーオーバーで太りやすくなる。ダイエットが成功して喜んだ後、普通の生活に戻すと体重が増えてリバウンドするのは基礎代謝が減るからです」(佐々木さん)

島原病院肥満・糖尿病センター長の吉田俊秀さんは、「中高年ほどリバウンドリスクが高くなる」と指摘する。

「急激なダイエットをすると全身の筋肉とともに心臓の筋肉も減少します。その状態でリバウンドして脂肪が増えると、全身に血液を送るため心臓にかかる負担が通常の2~3倍になり、少し歩いても息苦しく感じるようになります。間違ったダイエットでは、年配になるほど心臓の機能は低下しやすいので、リバウンドした際の負担はさらに増すことになります」

「ダイエット→リバウンド→ダイエット→リバウンド」と繰り返していくと、体がボロボロになってしまうのだ。これらの問題に対し、RIZAPはどう対応しているのか聞いたところ、次のような回答だった。

「昨今、低糖質食事法が人体に与える影響について、さまざまな見解がなされています。賛否両論がある中で、弊社では社会の疑問にこたえるべく、これまで低糖質食事法やレジスタンス運動(筋肉に負荷を繰り返しかける運動)について、東京大学や筑波大学の先生と科学的な検証を行ってきました。

その結果、これらが生活習慣病のリスクや体組成および血液生化学項目に対し、安全かつ健康数値が改善することがわかっております。

また弊社では医療機関とも連携させていただいており、高齢者、心臓疾患、糖尿病、などのかたには、 医療機関と連携したメディカルスタッフが適切な指導を行いながら、安心してボディーメークに取り組んでいただける環境をご提供しております」(スタジオ事業部)

食べる量全体を少なくすることが健康美人への近道

ここまで食事制限ダイエットの危険性を紹介してきたが、どのようなダイエットなら安心できるだろうか。多くの識者が推奨するのは、「食事療法と運動療法の組み合わせ」だ。新潟大学名誉教授の岡田正彦さんが語る。

「運動には筋肉と骨を丈夫にする効果があり、ダイエットにともなうリスクを軽減するので必要不可欠です。ジムに通わなくても日常生活のちょっとした運動で充分。例えば階段を上るのはエネルギーを使うので、駅やデパートでは常に階段を上るよう心がけましょう。

ウオーキングの場合はぶらぶら歩くのではなく、少し脈が上がるくらいの早歩きをするのが効果的。1週間に、150分以上を目安に体を動かしてほしい」

食事も過度に制限するのではなく、栄養バランスを考えながら全体のカロリーを抑えることが重要だ。

「糖質をゼロにする極端なダイエットではなく、食べる量全体を下げることが健康にやせるための秘訣です。三大栄養素のバランスが理想的とされる和食中心の食事にして、量を抑える方法がおススメです」(岡田さん)

ダイエットが成功すれば、身も心も軽やかになる。「栄養バランス」と「運動」に注意して、この秋、あなたも“生まれ変わり”をめざしてみては?

※女性セブン2017年10月12日号

●糖質制限は×、菜食より肉食が○など「ヤセる食べグセ」とは?

●2人にひとりがリバウンド?「糖質制限ダイエット」のメカニズム

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