ボディケア

マライア・キャリー叩きに見る太っているのは本当にNGなのか

しかし、この『スリム信仰』にNOを突きつける人たちがいる。

この“激太り叩き”を軽快に笑い飛ばすのは、著述家・プロデューサーの湯山玲子さん。他人の声に流されて、やせる必要などないと話す。

「今の自分を正視できていない、ある意味“認知の歪み”が、バッシングの原因になっていると思います。“太りましたが、何か?”と開き直ってそれでもまた別の美しさを表現するとか、太った自分の再ブランディングができたならば超カッコいいと思う」

オシャレな服を着こなし、豪快に笑う湯山さん。太っているからといって、不幸には見えない。

「周りを見ていても、体形と人気は関係ないと思います。逆に、“ダイエットさえすれば、やせさえすれば自分の人生が好転する”という凝り固まった考えに逃げ込んで、デブを叩いたりダイエットに励んだりする人がいますよね。本当に人生を好転させたいのであれば、仕事で結果を出すために努力するとか、自立した生活をするとか、やるべきことは他にあるはず。そういったことから目をそらして自分の体形に固執するのはおかしなことだと思います」(湯山さん)

あの人、二の腕がポチャポチャ、二重アゴがひどい──女性同士で陰口を叩く風潮に対しても、「そんなことをしても何の意味もない」と湯山さんはバッサリ。

男性は意外とぽっちゃり好き!?”ふくよか”は褒め言葉

「女性たちは、“60kg以上の女なんて信じられない”と自分でルールを作ってダイエットにいそしむけれど、男性は意外とデブに寛容でぽっちゃり女性が好き。自分が言った悪口が回り回って、女性自身を縛っているんです」(湯山さん)

実際に日本の歴史上、“ふくよか”は美の基準だった。たとえば、平安時代を代表する美女といわれる紫式部は太っていたと伝えられている。

ベストセラー『京都ぎらい』(朝日新書)や『美人論』(朝日文芸文庫)の著者で、国際日本文化研究センター教授の井上章一さんが言う。

「第二次世界大戦中に、日本国が掲げた美人の規定『翼賛美人』の項目には姿勢が良い、豊かな胸元、顔つやが良いといった特徴に加えて、『食べよ、たっぷり肥えよ』という文言が書かれていました。ぼく自身は、太ったやせたが美の基準ではなく、顔の造形だと思うのですが、少なくとも政府の考える美人像の中に、“肥えている”という項目があったのは確かです」

そのため、戦争を生き抜いた高齢者の中には、今でも「ふくよか」が褒め言葉だと思っている人も少なくない。

「97才の曾祖母は、家に来る保険の若い営業スタッフに“あなた、肥えていていいわねえ”っていつも声をかけるんです。もちろん、先方はムっとした表情を浮べていますが…。でも、食糧難で育った曾祖母にとって“太っている”は最大の賛辞なんです(苦笑)」(30代女性)

医学的にも「太っている」方が長生きするという調査結果が出ている。医学博士で昭和学院短期大学特任教授の國香清さんは、「体重÷身長×身長」で算出する体重・体格の指標「BMI」と死亡率の関係を解説する。

長生きは、”やや肥満”の人

「一般的にはBMI値18.5未満が『やせ』、18.5以上25未満が『普通』、25以上30未満が『肥満気味』となります。実際に最も長生きしているのは、BMI値が25を少し超えたやや肥満に分類される人たちです。

その根拠として、厚生労働省研究班と東北大学の研究では、40才からの余命がいちばん長いのはBMIが25以上30未満の群で、最も短命なのがやせ体型の群でした。同様の報告は、他の厚労省主導の研究(JPHC研究)などでもみられます」

小太りが長寿な理由についてはこう続ける。

「病気で寝込んでも脂肪があれば、栄養分として持ちこたえられる。ダイエットにおいては悪者にされがちなコレステロールも、体の細胞膜やホルモンを作る上で非常に大事な成分なのです。逆にやせ体型が短命なのは栄養不足と免疫力の低下が挙げられます」(國香さん)

※女性セブン2017年9月7日号

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