つらい手足のしびれは、ホルモンバランスの乱れが関係する更年期症状の可能性があります。しかし、疾患が原因の場合もあり、更年期症状への対策だけでは不十分な場合もあるので注意が必要です。その見分け方や、更年期のしびれ対策について薬剤師の山形ゆかりさんに教えてもらいました。
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更年期に起きるしびれの原因
更年期のしびれは、主に更年期症状としてのしびれと手指の疾患によるものが考えられます。どちらもエストロゲンの減少が関係して起こると考えられていますが、症状のあらわれ方が異なります。まずはしびれの特徴を原因別にみてみましょう。
更年期症状
ホルモンバランスと自律神経は密接に関係しており、更年期になりエストロゲンが減少してホルモンバランスが崩れると、自律神経が乱れやすくなります。自律神経の乱れが血行不良や筋肉の緊張を引き起こすことで、手足のしびれにつながるのです。
また、エストロゲンは体内のコラーゲンの生成にも関わっています。エストロゲンの減少によって体内のコラーゲン量が減ると、皮膚が乾燥しやすくなって刺激に敏感になったり、関節の軟骨がすり減って炎症が起こったりして、しびれを感じやすくなることがあります。
詳しくは後述しますが、更年期症状としてのしびれであれば、セルフケアによって症状の緩和や改善が期待できます。
手指の疾患
しびれを伴う手指の疾患は、加齢やホルモンバランスの乱れと関係していることがあり、更年期に発症しやすい傾向にあります。
たとえば、エストロゲンが減少すると、腱や関節を滑らかに動かすための組織に炎症が起こり、腱鞘炎が起きやすくなります。更年期に発症しやすいヘバーデン結節やブシャール結節、母指CM関節症、ばね指、ドケルバン病、手根管症候群なども、しびれが起きやすい疾患です。
手指の疾患を発症している場合、しびれ以外にも指がカクカクとして動かしにくい、関節が腫れたり変形したりしている、痛みが長時間続くなどの症状がみられます。これらの症状がある場合は早めに医師に相談しましょう。
また、前触れなく突然強いしびれが起きる、片側だけしびれがある、しびれ以外に吐き気や頭痛などの症状があるような場合、脳出血や脳梗塞の可能性があります。すぐに救急外来や脳外科を受診してください。
しびれを緩和する方法
更年期症状など、疾患によるしびれではないとわかっている場合には、患部に負担をかけないようにしたり、血行を改善したりすることで症状の緩和や改善が期待できます。
患部を安静にする
しびれを緩和するには、患部を安静にして負担をかけないようにしましょう。しびれが起きやすい部位をドラッグストアなどで売っているサポーターで固定して、曲げ伸ばしの動作を控えるのが効果的です。
また、整形外科や整骨院で相談したり専門家が配信している動画を視聴したりして、テーピングのやり方を習得するのもいいでしょう。
血行をよくする
筋力が落ちると冷えやすくなるため、日頃から簡単な筋トレやウォーキング、ヨガなど、適度な運動を行うのもおすすめです。
また、血行が悪くなると体が冷え、筋肉がこわばるため、しびれが悪化しやすくなります。そのため、しびれのある部位や手首、肩などの関節をマッサージしたり温めたりして血行をよくしましょう。
また、補正下着やスキニージーンズ、袖がきつい服などを着ることも、血管が圧迫され血行が悪くなる原因になります。体を締め付けないゆったりとした服を選ぶのがおすすめです。