不調改善

更年期症状のしびれはセルフケアで改善できる?薬剤師が解説する食材、漢方薬による対策

更年期のしびれ対策によい食材

更年期のしびれ対策には、エネルギー代謝や血液を作る働きに関わる栄養素のビタミンB群(ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)を含む食材を摂りましょう。

なかでも、更年期のしびれ対策には、血液量を増やし血流を促すビタミンB12や葉酸、神経の健康を維持するビタミンB1が必要です。

ビタミンB12は貝類やレバーなどの動物性食品に、葉酸はブロッコリーやほうれんそう、レバーなどに多く含まれ、ビタミンB1は豚肉や穀物の胚芽に多く含まれている栄養素です。

ほうれん草とベーコン
ビタミンB群の摂取を意識して
写真9枚

ビタミンB12と葉酸は通常の食生活であれば欠乏しにくい栄養素ですが、動物性食品をほとんど食べなかったり食事量そのものが少なかったりすると不足する可能性があります。また、ビタミンB1は糖をエネルギーに変換する際に必要とされるため、糖分を多く摂取したり、よく体を動かしたりする人は不足しやすくなります。

これらの栄養素が不足しないよう、レバーや豚肉を使った献立を増やす、野菜を使った副菜を一品追加する、白米を玄米に変更するなどの方法で摂取量を増やしましょう。

なお、ビタミンB群は極端にバランスが偏ったり特定の栄養素が不足したりすると、頭痛や粘膜の炎症などのさまざまな不調が起こるほか、欠乏症の発見が遅れる可能性があります。たとえば、葉酸を多く摂取してビタミンB12をあまり摂らないでいると、貧血や末梢神経障害などを引き起こすビタミンB12欠乏症の発見が遅れて悪化するおそれがあります。

ビタミンB群のイメージ
ビタミンB群はバランスよく摂ることが重要
写真9枚

そのため、ビタミンB群はまんべんなく摂取するよう心がけ、サプリメントなどを併用している場合は栄養バランスの偏りや過剰摂取に気を付けましょう。

しびれの改善には漢方薬も役立つ

更年期に起こるしびれには、「血流を促して体を温め、神経の機能を回復させる」「水分の循環をよくして老廃物を排出する」「手足の筋肉に栄養を届けて疲労を軽減する」といった作用のある漢方薬を服用することで改善が期待できます。

漢方茶
手のしびれの対策におすすめの漢方薬2つ
写真9枚

おすすめの漢方薬

・疎経活血湯(そけいかっけつとう)

筋肉や関節に不足している栄養を補い、血流を促すことで、神経痛や関節痛などを和らげます。外気温や冷房などによって関節や手足の末端が冷え、しびれや痛みがある人に用いる漢方薬です。

・桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)

水分代謝をよくするとともに、体を温めて神経痛や関節痛を和らげます。慢性的に冷えがあり、手足のしびれや痛み、こわばりがある人に用いる漢方薬です。

漢方薬を始める際の注意点

漢方薬は、食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。

ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。

◆教えてくれた人:薬剤師・山形ゆかりさん

白衣の女性
薬剤師の山形ゆかりさん
写真9枚

やまがた・ゆかり。薬剤師、薬膳アドバイザー、フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ。牛角・吉野家ほか薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信する「Medical Health -メディヘル-youtubeチャンネル」(@medicalhealth–7900)で簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)でも薬剤師としてサポートを行う。

●夏にホットフラッシュがひどくなくなるのはナゼ? 今からできる食材や漢方による体質改善対策

●血流が悪いと何がいけないの?注意すべき病気リスク、1分でできる「血流アップ体操」を麻酔科医が解説